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なぜ前橋市民は小川晶の「ラブホ密会」を許したか? 圧勝の裏にあった“2つの心理”

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小川晶再当選

部下の男性職員との度重なる「ラブホテル密会」が報じられ、辞職に追い込まれた前橋市の小川晶氏(43)。常識的に考えれば政治生命を絶たれるスキャンダルだが、1月12日の出直し市長選で彼女は再選を果たした。

それも、組織票を誇る自民党系候補を相手にした圧勝だった。なぜ前橋市民は、彼女の不貞疑惑を「許した」のか。その不可解な熱狂の正体に迫る。

 

「不倫」よりも「いじめ」に反応した有権者

「あきらー!」「おかえりー!」

当選確実の一報が流れた瞬間、小川事務所はまるでアイドルを迎えるような歓声に包まれた。支持者の中心は女性たちだ。彼女たちの目には、小川氏は「不道徳な市長」ではなく、「権力にいじめられた悲劇のヒロイン」として映っていた。

選挙戦で小川陣営が徹底したのは、疑惑のディテール(回数や行為の有無)には触れず、「お騒がせした」という謝罪のみを繰り返し、あとはひたすら「市民との対話」に徹するスタイルだった。街頭では小学生が「ちいかわに似てる」と駆け寄り、母親たちが涙を流して抱きつく。

対立候補が「市政の信頼回復」や「道徳」を説けば説くほど、それは小川氏への「個人攻撃」と受け取られ、逆に小川氏への同情票=判官贔屓(はんがんびいき)を加速させる皮肉な結果となった。

 

選挙プランナーが指摘する「勝因の方程式」

しかし、単なる「同情」だけで市長選は勝てない。この逆転劇の裏には、冷徹な有権者の計算もあった。選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏は、小川氏が勝てた理由を「判官贔屓」と「実績」の掛け合わせであるとSNSで分析する。

「一つは『判官贔屓』です。小川氏はホテル問題を認め、頭を下げて選挙戦に臨みました。日本人の有権者心理として、謝罪して頭を下げている相手を、寄ってたかって叩くことへの抵抗感は確実にあります。『本人も十分反省しているのだから』という許容の空気が生まれやすいのです」(大濱崎氏)

さらに大濱崎氏が重要視するのが、在任1年9カ月という短期間で作った「実績」だ。

「先月、同じくスキャンダル後の出直し選で落選した伊東市の前市長との決定的な違いはここです。小川氏は給食無償化など、目に見える成果を残していました。有権者は『問題はあったが、仕事はしている』と判断した。一方、伊東市のケースは就任直後で実績を示す時間がなかった。謝罪の姿勢と、それを補って余りある実績。この両方が揃ったことで、スキャンダルというマイナスを相殺できたと言えます」(同前)

 

「清廉潔白な新人」より「傷ついた実力者」

対立候補の丸山彬氏(40)は、弁護士というクリーンな経歴と自民党の組織力を武器に戦った。だが、「正しさ」だけでは市民の心を動かせなかった。

現場をフィールドワークした法政大学大学院の白鳥浩教授はこう語る。

 

「今の有権者は、SNSを通じて『完璧な人間などいない』という感覚を共有しています。だからこそ、丸山氏のような『正論』を振りかざすエリートよりも、泥にまみれても『給食費をタダにしてくれた』小川氏の方にリアリティを感じた。倫理観よりも生活実感、そして『私たちのあきらちゃん』という推し活にも似た感情が、前橋では倫理の壁を突破したのです」

ラブホテル密会という事実は消えない。しかし、前橋市民はそれを「許す」という選択をした。禊(みそぎ)を済ませた小川氏だが、2期目の市政運営は「同情」という魔法が解けた後の、真の実力が試されることになる。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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