
Adoが11月11日開幕のライブツアーを前に、「著作権で保護された素材を用いた非公式グッズの製作」を明確に禁止。二次創作そのものは継続可能だが、有償販売・業者委託による大量製作はNG。ハンドメイド界隈に衝撃と混乱が広がる。
Ado、ライブツアー直前の「禁止事項発表」にファン衝撃
歌い手アーティストのAdoが、11月11日より開幕するライブツアー、『Ado DOME TOUR 2025 「よだか」』に先立ち、公式サイト上で「公演に関する注意・禁止事項」を発表した。
Ado DOME TOUR 2025 「よだか」 <東京ドーム、京セラドーム大阪>公演に関する公演案内及び注意・禁止事項について
この中でファンの間で波紋を呼んでいるのが、「自作グッズ・著作権・肖像権等について」という項目だ。
著作権保護素材のSNS掲載・無償配布もNG、Ado公式が明記
公式サイトには以下の一文が記載されている。
「著作権で保護されている素材を無断複製使用して非公式グッズを製作し、第三者(友人・知人を含みます)への販売・配布(有償・無償問わず)、製作したグッズやペイントを施した物品をSNS等へ掲載することは、著作権・肖像権侵害行為にあたるため禁止いたします。」
Adoの著作権保護素材の自作グッズ等について、販売だけでなく「友人への無償配布」や「SNS投稿」までが禁止対象に含まれている。Ado自身、過去から非公式グッズの販売被害に悩まされていたとされ、今回の明文化はその防止策とみられる。
Adoファンの間で広がる“混乱と不安”
この発表を受け、ハンドメイド界隈のファンたちからは困惑の声が相次いでいる。
「ジャケット写真やキャラクターを使わなければ大丈夫?」
「Adoのアーティスト画像やジャケット画像に使われている「青い薔薇」や「蝶」などは、モチーフだけなら著作権は無いのでは」
「フォロワーさんに無償で渡すつもりで作ったアクセ、どうしよう…」
「Adoをイメージした過去のハンドメイド作品投稿も、削除した方がいいの?」
SNS上ではこのような悲鳴に近いコメントが散見された。
公式発表の文言の中の「著作権で保護されている素材」がどこまでを含むのかがファンの間で議論になっており、「公式から創作物のOK・NGの線引きの具体例を示してほしい」という声もある。
二次創作は作成・公開OK、ただし金銭が絡む行為はNG
先ほどの公式からの声明発表のページには、別項目で「二次創作」に関しても記載がある。
「Adoの二次創作(Adoart・イラスト)についてはSNSへの投稿は引き続き行なっていただても問題ございませんが、二次創作(Adoart・イラスト)を用いての自作グッズの製作や金銭が発生する行為(業者へ印刷を発注する等も含む)等はご遠慮いただきますようお願いいたします。」
今回公式が明確に禁止しているのは「著作権保護素材を使用した制作物の製作・公開禁止」 であり、二次創作自体は引き続き問題ないが、有償販売や製作工程を業者に委託する行為などはNGということだ。
二次創作の“自由”と著作権管理の徹底、運営側の方針がより明確に
今回のAdo運営の禁止事項は、決してファン文化を敵視したものではない。むしろ、作品・キャラクター・アートワークといった「創作物の権利を守る」という、クリエイター側の本質的な姿勢をより明確に示したものと言える。
公式素材を無断活用した非公式グッズ販売、二次創作グッズの販売などのグレーな市場を放置すれば、アーティスト本人だけでなく、作曲・イラスト・デザインに関わるクリエイターの利益や権利が侵害される。
Adoの人気上昇とともに、権利管理の強化は不可避になっていた。
ファン活動の健全化へ “創作の自由”は権利への敬意の上で成立する
今回のルール明文化は、ファン活動の健全化に向けた明確なメッセージでもある。
「二次創作はOKだが、公式素材の無断利用を含むグッズ化・販売はNG」という線引きは、クリエイターの権利を守るうえで自然な流れだ。
とりわけハンドメイド界隈においては、販売目的の大量製作や委託生産が横行すれば、公式グッズの価値低下や商標トラブルにもつながりかねない。ファン側が“創作して応援する”のであれば、まずクリエイターへの敬意を軸にした行動が求められるだろう。
Ado運営が示した今回のメッセージは、ファンコミュニティ全体に対して権利を守ることは、推しを守ることという原則を再確認させるきっかけと言えそうだ。



