覚醒剤使用をSNSで告白 妻子は日本に帰国し別離

SNSマーケティングや投資活動で知られ、「秒速で1億円稼ぐ男」として一世を風靡した実業家・与沢翼氏が、4月18日未明、自身のXアカウントにて覚醒剤の使用を告白し、大きな波紋を呼んでいる。
与沢氏は投稿の冒頭で「今からとんでもないこと書きます。本当にごめんなさい」と前置きし、タイでの生活中に覚醒剤に依存していたことを率直に明かした。その上で「今はもうやっていません。信用されないと思いますが、この後もやりません」と断言し、覚醒剤を断つ決意を表明した。
妻子は日本に帰国 「一人になりました」
投稿には、妻と3人の子どもが日本へ帰国した写真も添付されており、覚醒剤使用が夫婦関係の破綻に直結したことを与沢氏自身が認めている。「怒鳴ったり、写真のフレームを壊して足に怪我をさせてしまったり」と記述し、暴力的な言動があったことも告白した。
また、過去にも「DVっぽいことやモラハラっぽいことを多々してきた」との反省の弁を述べ、「親としてふさわしくない」と自己を強く責めた。「れい、にな、みらんには、もう会えない」と絶望的な心情を綴り、何度も連絡を試みているものの返答はないという。
SNS告白は“自戒”の意味も
与沢氏は「SNSに書かない方がいいと言われましたが、覚醒剤を辞めきるためにSNSに書きました」と語っており、公の場で告白することで、自らへの抑止力とする意図をにじませた。実母にも電話で告白したとし、「親不孝で本当に泣けました」と語るなど、強い後悔と決意が投稿全体に滲む。
SNSでは「告白は勇気ある行動」と評価も
この投稿に対し、SNS上では驚きとともに賛否が渦巻いている。著名なネットアクティビストであるZ李氏は「シャブ炙らないに5000円賭ける」と投稿しつつ、「激痩せの時も発信でダイエット成功させていた。今回も“晒すことでやめる”というパターンに期待したい」と与沢氏の「自発的なリスク開示」に一定の理解を示した。
また別のユーザーは、「普通に生きられない人の苦悩が見てわかる。子どもたちのためにも、書くことで奮起して覚醒剤やめられると良いね」と応援の声を寄せた。
「秒速1億」からの転落、再起はなるか
与沢氏は2010年代に「ネオヒルズ族」として一世を風靡し、豪華なライフスタイルや投資ノウハウをSNSで発信して注目を浴びてきた。現在はタイを拠点に活動していたが、今回の告白によって、その実像と孤独、精神的な脆さが改めて浮き彫りとなった。
「また転落しました。これからはタイで一人です」と綴る与沢氏が、再び社会との接点を築けるかは不透明だ。自身は「少しずつ社会復帰していきたい」と記しているが、覚醒剤という重大な依存からの完全脱却と、壊れた家族関係の修復という、あまりに険しい道が待ち構えている。
それでも過去に覚醒剤で捕まった有名人たちで再起した人たちは少なからずいる。
有名人・経営者たちの“その後”──覚せい剤と戦った人々
清原和博氏(元プロ野球選手)
元読売ジャイアンツなどで活躍したスラッガー・清原和博氏は、2016年に覚せい剤取締法違反で逮捕された。野球界のスターとして絶頂期を迎えた後、現役引退後の孤独や焦燥感から薬物に手を出したとされる。逮捕後は保釈、執行猶予付きの有罪判決を受け、現在は講演活動やメディア出演を通じて薬物撲滅活動にも取り組んでいるが、「薬物依存との戦いは一生続く」と本人も語っており、社会復帰の道は決して平坦ではない。
田代まさし氏(元タレント)
覚せい剤依存と再犯を繰り返し、計5度の逮捕歴を持つ。最初の逮捕は2001年、以後も覚せい剤使用や盗撮などでたびたび問題を起こし、芸能界から完全に姿を消した。現在は依存症リハビリ施設に身を置きながら、薬物依存の危険性を語る活動も行っている。だが、社会の目は厳しく、再起は極めて限定的なものである。
橋爪遼氏(俳優・橋爪功の息子)
2017年、覚せい剤取締法違反で逮捕。俳優として活躍していた矢先の出来事だったが、その後の活動再開はほぼ見られていない。父・橋爪功氏も謝罪会見を行い、家族にまで波及する影響の大きさが浮き彫りとなった。
小向美奈子氏(元グラビアアイドル)
2009年以降、複数回にわたり覚せい剤取締法違反で逮捕。何度かの社会復帰を試みるも、過去の薬物歴が大きく影を落とし、芸能界復帰は難航した。現在も表舞台に立つことは稀で、一般社会への再統合の難しさがにじむ。
更生の困難さ「病」としての覚せい剤依存
覚せい剤依存は、単なる「違法行為」ではなく、医学的にも「依存症=病気」として定義されている。特に覚せい剤は強い精神的依存と快感が伴うため、再使用のリスクが極めて高い。
日本ダルク(Drug Addiction Rehabilitation Center)によれば、覚せい剤依存者の再犯率は60〜70%にのぼるとされ、治療とリハビリ、そして支援者による「環境のコントロール」が不可欠とされる。
有名人がその影響力を使って「公開告白」に踏み切る例もあるが、その裏には絶え間ない衝動との闘いがある。社会的立場のある人物ほど、転落時のギャップが大きく、再起への道には偏見や不信、メディアの好奇の目など、複数の障壁が待ち構えている。
与沢氏の今後 社会復帰の道は険しくも可能か
今回、与沢翼氏が自らの言葉で覚せい剤使用を告白したことは、大きなリスクを伴う行動でありながら、自身への抑止力とする意志の表れでもある。だが、過去の事例を見れば明らかなように、覚せい剤依存からの脱却には「意志」だけでなく、「継続的な支援体制」と「周囲の理解」が欠かせない。
SNSを通じて告白することで、自らの行動を外部に可視化し、再発防止の足場にしようとする姿勢は評価できる面もある。だが、真の意味での更生とは、「過去を語る」ことではなく、「未来を生き直す」ことにある。今後、どのようなかたちで社会とのつながりを再構築していくのか、静かに見守る必要がある。