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山下真奈良県知事、K-POPイベントに2.7億円投入の波紋 伝統行事廃止との落差に批判噴出

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奈良県知事山下真
山下知事のHPより

奈良県が2025年10月に奈良公園で開催予定のK-POPイベントに約2.7億円もの公費を投入する計画に対し、批判の声が高まっている。山下真知事は国際交流の促進や若者への機会提供などを理由に事業の意義を強調するが、費用対効果への疑問や、廃止された伝統行事との落差を指摘する声が相次いでいる。

 

巨額の費用と廃止された伝統行事

このK-POPイベントは、日韓国交正常化60周年および奈良県と韓国・忠清南道の友好提携15周年を記念して企画された。9000人規模の無料コンサートで、アーティストの派遣費用は忠清南道側が負担し、会場設営や警備費用などを奈良県が負担する。

一方、県は今年、長年にわたり開催されてきた「奈良ちとせ祝ぐ寿ぐまつり(大立山まつり)」と「平城京天平祭(夏・秋)」を廃止した。これらの行事は、県の伝統文化を継承・発信する貴重な機会となっていたが、県は「一定の目的を達成した」「観光強化策を見直す」として廃止を決定。大立山まつりに約8000万円をかけて制作された四天王像の大立山4体は、行き場を失ったままだ。

SNS上では、「3800万の予算でやってた天平祭は税金のムダと次々廃止したのに1日で2億7千万のK-POP無料ライブ」といった批判や、「世界で唯一、奈良にしか出来ないお祭りなのに」と廃止を惜しむ声が上がっている。

知事の釈明と更なる疑問

批判の高まりを受け、山下知事はSNSで「お金のない日本の若者も大好きなK-POPアーティストに生で接することができ、交流を深められる。お金に代え難い価値が生み出される」と釈明。後に「日本の若者も財布の中身を気にする必要なく」という意味だったと訂正し、謝罪した。財源については、シルクロード博覧会の収益金を積み立てた基金を取り崩すと説明している。

しかし、この釈明は更なる疑問を生んだ。「企業等の協賛を確保したり、ボランティアを募ったりして、奈良県の負担する費用を少なくする努力はしていきます」という投稿に対し、「後出しで協賛やボランティアを募るのでは、計画性がない」との指摘も出ている。

メガソーラー問題と知事当選の背景

 

山下知事は、五条市の防災拠点整備予定地へのメガソーラー設置を推進するなど、その政策には賛否両論がある。当初「広域防災拠点」とする約束で県に土地を売却したにもかかわらず、メガソーラー建設へと計画が変更されたことに対し、地元住民からは強い反発が起こっている。

もともと、山下知事の当選は、保守分裂選挙の恩恵を受けた側面もある。自民党推薦候補と、高市早苗氏支持の候補との分裂により、保守票が割れ、日本維新の会公認で出馬した山下氏が漁夫の利を得た形となった。

今後の展望

K-POPイベント開催の是非は、今後の県議会での議論に委ねられる。しかし、すでに多くの県民から疑問の声が上がっている以上、山下知事は丁寧な説明責任を果たす必要があるだろう。伝統文化の継承と国際交流の推進、財政健全化、そして県民との対話。これらの課題をどうバランスさせていくのか、知事の手腕が問われている。

県民の声と今後の課題

 

県民からは様々な声が上がっている。K-POPイベントに期待する若者世代からは「行きたーい」「めっちゃ楽しみ」といった歓迎の声も聞かれる一方、伝統文化の衰退を懸念する声や、費用対効果に疑問を抱く声も多い。

「奈良には素晴らしい伝統文化があるのに、なぜK-POPに巨額の費用をかけるのか」「本当に県民のためになる政策なのか疑問だ」「説明が不十分で、県民の声を聞いていない」といった批判的な意見がSNS上でも拡散されている。

今回の騒動は、地方自治体における政策決定のプロセスや情報公開のあり方、そして首長の説明責任について、改めて議論を促す契機となるだろう。県民の理解と納得を得られる政策運営が求められている。

また、日韓関係という外交的側面も併せ持つ今回のイベントは、文化交流の意義とその費用負担のバランス、そして国際親善と地方自治体の役割について、多角的な視点からの検討が必要となる。山下知事の手腕が問われるのは、イベント開催の是非だけでなく、これらの課題にどう向き合い、県民の信頼を回復していくかであろう。

cokiでは、今後もこの問題の推移を注視し、続報をお伝えしていく。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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